研修レポート作成を効率化!効果測定・実施報告の説得力を高めるには?

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研修レポート作成を効率化!効果測定・実施報告の説得力を高めるには?

「研修の運営管理に忙殺されて、効果測定や実施報告まで手が回らない……」

Manegy(株式会社MS-Japan)が管理部門を対象に行った調査[1]によると、人事部門の領域で課題だと考えているものは「業務の効率化・時間短縮」(38.3%)がトップであることが分かりました。

研修はただ実施すれば成果が出るとは限りません。研修の効果を測定し、また運営担当部門として実施報告を行う必要があるでしょう。しかし、研修の運営管理や日々の業務に追われてしまい、研修後の振り返りや報告にまで手が回らないという事態も珍しくありません。

効果測定や実施報告の材料となるものの1つに、受講者が提出するアンケートやレポートがあります。これらの回収や評価の効率化を実現すれば、スピーディーに説得力のある報告ができるでしょう。

この記事では、研修実施報告の効率化や効果測定への活用という視点で研修レポートに着目しました。受講者が作成する受講報告書と運営側が作成する実施報告書に分けて、研修レポートのポイントや書き方について解説します。例文付きのテンプレートもありますので、ぜひ参考にしてみてください。

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1.  研修レポートの種類

研修レポートには大きく分けて、次の2つがあります。

研修受講報告書……受講者が作成する研修レポート
研修実施報告書……運営側が作成する研修レポート

レポートの作成主体や役割が異なるものの、両者は関連付けて設計するとよいでしょう。研修実施報告書の作成に活用できるように研修受講報告書を設計することで、効率良く説得力のある実施報告ができます。

2. 受講者側の研修レポート(研修受講報告書)の書き方

ここからは、研修受講報告書と研修実施報告書に分けて書き方を解説していきます。まず受講者が作成する研修受講報告書について見ていきましょう。

2-1. 受講者にとっての研修レポートの意義

受講者が作成する研修レポートは、以下の点で役立ちます。

研修の理解度向上

受講者は研修内容や所感を言語化することで、学んだことを振り返り自身の気付きを整理できます。それによって、研修を受けただけといったケースよりも理解を深められるでしょう。さらに、業務での活用や今後の学習に向けて意識を高める機会にもなります。

研修内容の共有

上司への報告や部門を代表して受けた研修内容の共有のために、研修レポートを作成する企業もあるでしょう。研修レポートを共有することで、学習の継続や職場での実践に向けたフォローアップ体制を構築しやすくなります。また、他の従業員に対し、研修への興味関心を高める効果も期待できます。

2-2. 受講者側の研修レポート(研修受講報告書)の設計ポイント

研修受講報告書を設計する際は、運営側が効果測定に利用したい情報や実施報告書に盛り込みたい内容を収集できるようにするとよいでしょう。ポイントは以下の通りです。

研修のゴールをあらかじめ明示しておく

受講者が目的意識を持って研修に臨み、また目標達成の有無を軸に研修レポートを作成できるように、研修開始までに研修のゴールを示しておくことが重要です。

その研修を受けることでどのような状態になることが期待されているのか、どのような技能や姿勢の習得を目指すのか、具体的に提示しましょう。

フォーマットを用意し、欲しい情報を収集しやすくする

受講者の研修レポートから、運営側が必要とする情報を確実に得たい場合は、フォーマットを用意することが望ましいでしょう。

フォーマットには、目標の達成度今後の実践計画についてなど、必要な情報に関する具体的な項目を設置し、受講者に回答してもらいます。必要な情報を収集しやすくなり、効率的な効果測定説得力のある実施報告につながるでしょう。

さらに、研修レポートの作成・回収をシステム上で実施すれば、回収・提出の漏れを防ぐことができ運営・受講者双方の負担が少なくなります。

例えば、株式会社ライトワークスのLMS「CAREERSHIP」は、事前・事後アンケートやレポート課題、何カ月かの期間を置いたアンケートなど、研修とそれにまつわるタスクをフロー化できます。

効果測定を自動化できる!⇒ 「CAREERSHIP」のアンケート機能を詳しく見る

継続してサポートする

以上のように、研修目標の達成や業務での実践を念頭に置いて作成された研修レポートは、一度回収して終わりではなく、その後のサポートに活用できます。

受講者による研修レポートは、上司や人事担当者からのフィードバック職場のフォローアップ体制づくりの材料になります。受講者に学んだことの実践に向けたアクションプランを立ててもらい、上司などが達成度を継続的に確認しサポートするといった取り組みもよいでしょう。

2-3. 受講者側の研修レポート(研修受講報告書)の項目例とテンプレート

研修受講報告書の項目例と例文を、電話応対研修を題材に紹介します。

研修名

電話応対研修(基礎)

実施日程

〇〇年〇〇月〇〇日 13:00~17:00

実施場所

本社 会議室A

主催者・講師

研修会社A社 〇〇氏

研修の目的・目標

目的
・顧客満足につながる応対スキルの習得
目標
・自信を持って電話応対ができる
・総合演習の講師評価B以上

研修内容の要点

敬語や言い回し、基本フローなどの電話応対の基礎を講義とディスカッションで学習し、発声練習・ロールプレイングを実施しました。

目的・目標の達成度

電話応対の基礎を学び、総合演習で合格をいただきました。
積極的に電話応対に臨む心構えができた一方、お客さまからの問い合わせなどに自信を持って応対するためにはもっと業務知識を身に付ける必要があると感じました。

業務における
今後の実践計画

OJTを通して、以下を実践したいと考えます。
・職場での入電時には、自分から率先して応対する
・よくある問い合わせ内容や、必要な業務知識を記録する

その他気付き・所感

自己流で行っていた電話応対について、あらためて基本を学べて良かったです。クレーム対応やイレギュラーな問い合わせなど実務には不安が残りますが、OJTを通して適切な電話応対を身に付けていきたいです。

備考・補足

 

3. 運営側の研修レポート(研修実施報告書)の書き方

続いて、研修運営側が作成する研修レポート、研修実施報告書について解説します。

3-1. 運営側にとっての研修レポートの意義

研修実施報告書には主に以下のような役割があります。

研修の総括

運営側が作成する研修実施報告書は、研修を総括し、社内で報告・共有する資料です。研修実施報告書の作成を通して、研修の狙いや実施内容の記録評価や成果のまとめ課題の分析などを行います。

研修内容の評価・改善

研修はコストに見合う効果があるかを検証し、継続または改善、場合によっては廃止といった判断を下す必要があります。その判断の際、研修の成果や課題を整理した研修実施報告書が重要な判断材料となります。

実態に即し、かつ効率的に内容をまとめるためにも、研修実施報告書の作成には受講者が作成する研修レポート(研修受講報告書)を活用するとよいでしょう。受講者アンケートや確認テストなども必要に応じて併用し、客観的に検証できるようにまとめます。

3-2. 運営側の研修レポート(研修実施報告書)の作成ポイント

研修実施報告書で押さえたい作成ポイントは以下の通りです。

客観的に報告する

報告書には客観性が求められます。以下のように、数値やその根拠を示してまとめることを基本としましょう。

・事前・事後アンケートの結果、受講者の〇%に意識の変化が見られた
・最終日に理解度テストを行い、〇人中〇人が合格した

こうした定量的なデータを得るには、確認テストやアンケートが便利です。分析結果をスムーズに研修レポートに取り入れるためにも、効率的な実施・回収方法を検討するとよいでしょう。

一例として、株式会社ライトワークスのLMS「CAREERSHIP」のアンケート機能では、研修終了と同時に確認テスト・アンケートを自動配信できる他、未提出者へのリマインドメール配信や回答結果の自動集計、エクスポートなども可能。管理の手間を大幅に抑えられます。

効果測定を効率化!⇨ 「CAREERSHIP」のアンケート機能を詳しく見る

目的と結果を照らし合わせて分析する

研修実施報告書の根幹ともいえるのが、研修の目的を達成できたかどうかということです。結果だけでなく、目的の達成に役立った、あるいは達成を阻んだ要素に着目することで、研修の課題や改善の方向性を導き出せるでしょう。

そのためには、研修目的を明確にして計画するとともに、目的の達成度合いを測る方法についてあらかじめ想定しておくことが大事です。加えて、前章で述べたように受講者の研修レポートも研修目的を軸に作成させると、より効率的にまとめられるでしょう。

さまざまな視点を盛り込む

研修実施報告書は、研修担当者の意見だけでなく、さまざまな立場の意見を盛り込んで多角的な視点で作成すると客観的な総括・分析に役立ちます。

受講者から見た研修の評価や目標の達成度合いなどは、受講者アンケートや受講者の研修レポートを集計・分析して把握するとよいでしょう。受講者のリアルな声は、研修後のフォローアップ研修の改善を考える上で重要な材料になります。

場合によっては、研修を担当した講師に所感や意見を聞くことも有用でしょう。研修の狙いに対して時間や会場、設備は適切だったか、講師から見た受講者の反応はどうだったかなど、今後の研修運営に直結する情報が得られることがあります。

3-3. 運営側の研修レポート(研修実施報告書)の項目例とテンプレート

研修実施報告書の主な項目例をまとめました。記入例は、研修受講報告書と同じく電話応対研修を題材にしています。

研修名

電話応対研修(基礎)

実施日程

〇〇年〇〇月〇〇日 13:00~17:00

実施場所

本社 会議室A

主催者・講師

研修会社A社 〇〇氏

参加者

新入社員12人

 

研修の目的・目標

目的

・顧客満足につながる応対スキルの習得

目標

・自信を持って電話応対ができる

・総合演習での講師評価B以上

研修内容の要点

以下の内容を、講義と演習を組み合わせて行った。

1. 良い電話応対とは

2. 基本ルール(あいさつ・発声・言葉使い・相づちなど)

3. 発声練習

4. ロールプレイング

・受電の基本フロー

・よくある事例

・架電の練習

5. より良い電話応対とは(言外のニーズ・業務知識・クレーム対応など)

6. 総合演習/講評

研修実施の結果・効果

事前/事後アンケートの比較によれば、受講者の80%が「自信を持って電話応対ができる」という認識が高まった。また、総合演習の評価目標は受講者全員が達成した。

一方で、業務知識不足による電話応対への不安、クレーム対応など応用的なパターンの解説・演習の時間がもっと欲しいとの声が複数あった。

課題と今後の改善点

電話応対への不安を軽減するため、以下を検討したい。

・部門別の事例を反映したロールプレイングを取り入れる

・新入社員の電話応対時、上司やトレーナーが確実にサポートできるよう体制を整え、OJT計画に明示する

備考・補足

 

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4. 研修レポートを活用する企業事例

最後に、株式会社JTBにおける研修改革の事例から「アクションプランシート」の取り組みについて紹介します。研修レポートの設計や活用方法の参考にしてみてください。

同社が運用する「アクションプランシート」とは、研修を受けての行動変容を促す仕組みの1つです。受講者自らが研修前後に以下の内容を記入します。

・研修前:目標
・研修直後:学んだ内容をどのように活用していくか
・研修受講の1週間後・1カ月後・3カ月後:実践状況や成果、改善方法

この「アクションプランシート」は、「この研修を受けるとどのような力が身に付くのか」を定義した「レッスンルーブリック」との関連付けを強めた形に改善されました。

「レッスンルーブリック」では、各研修の目的と企業が求める人材像とのつながりを明確にしながら、受講の前提となるレベルから研修後に目指すべき姿まで、習得度合いを段階別に規定しています。

「レッスンルーブリック」に基づいて「アクションプランシート」を作成することで、受講者は研修の目標や学んだことの活用について、自分の業務と結び付けて実践的に考え実行することができます。

さらに各人のアクションプランシートはLMS上で共有され、上司や従業員同士がお互いにいつでも内容を確認できます。

こうした研修改革の基盤として、同社は株式会社ライトワークスのLMS「CAREERSHIP」を導入しました。

狙いの1つは、「レッスンルーブリック」や「アクションプランシート」などをLMS上で見える化し、従業員が具体的な学びの指針を得られるようにすることです。また、データ化が進み、受講率や成績、アンケート結果などを解析することで、研修の検証・改善の精度向上も期待できます。

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5. まとめ

研修レポートには以下の2種類があります。

・研修受講報告書……受講者が作成する研修レポート
・研修実施報告書……運営側が作成する研修レポート

研修実施報告書の作成に活用できるように研修受講報告書を設計することで、効率良く説得力のある実施報告ができます。

受講者が作成する研修受講報告書は、研修の理解度向上や、社内での研修内容の共有に役立ちます。

研修受講報告書を設計するときは、運営側が効果測定に利用したい情報や、研修実施報告に盛り込みたい内容を収集できるようにするとよいでしょう。研修受講報告書の設計ポイントは以下のようにまとめられます。

研修のゴールをあらかじめ明示しておく
・フォーマットを用意し、欲しい情報を収集しやすくする
継続してサポートする

主な項目例としては以下が考えられます。本文では電話応対研修を題材に例文付きのテンプレートを紹介しました。

・研修の目的・目標
・研修内容の要点
・目的・目標の達成度
・業務における今後の実践計画
・その他気付き・所感

一方、運営側が作成する研修実施報告書は、研修の総括研修内容の評価・改善のための判断材料といった役割があります。実態に即し、かつ効率的に内容をまとめるためにも、受講者の研修レポートや受講者アンケートを活用することをおすすめします。

研修実施報告書は、以下のようなポイントを押さえて作成するとよいでしょう。

客観的に報告する
目的と結果を照らし合わせて分析する
さまざまな視点を盛り込む

主な項目例は以下の通りです。こちらも、本文では電話応対研修を題材に例文を記載しました。

・研修の目的・目標
・研修内容の要点
・研修実施の結果・効果
・課題と今後の改善点

最後に企業事例として、株式会社JTBによる「アクションプランシート」の取り組みを紹介しました。研修前後に研修の目標や活用方法、実践状況などを「アクションプランシート」に記入していくことで、受講者の行動変容を促します。

研修レポートは、運用次第で研修の効果測定や実施報告を支える強力な材料になります。効率的かつ説得力のある研修運営に向けて、本稿がヒントになると幸いです。

[1] Manegy「【2023年最新調査】多忙な人事担当者たちの課題や悩みとは? 関心あるサービス領域を発表」,(閲覧日:2024年8月15日)

参考)
アルー株式会社「研修レポートの書き方とは?例文やテンプレートを紹介」,『alue』,https://service.alue.co.jp/blog/new-employee-training-report(閲覧日:2024年7月22日)
マーキュリッチ株式会社「研修レポートの効果的な書き方とは?上司から評価される研修報告」,https://www.mercurich.com/column-220323/(閲覧日:2024年7月22日)
株式会社スタディーハッカー「研修報告書の書き方に困ってる? テンプレートと例文を紹介!」,『STUDY HACKER』,https://studyhacker.net/training-report(閲覧日:2024年7月22日)
Indeed Japan 株式会社「研修報告書の書き方は?目的や内容、注意点を受講者用、実施者用に分けて紹介」,『キャリアガイド』,https://jp.indeed.com/career-advice/career-development/how-to-write-training-report(閲覧日:2024年7月22日)
株式会社システムブレーン「【テンプレート有】研修実施報告書のフォーマット、書き方を詳説」,https://www.sbrain.co.jp/cc/special/onlinekensyu/kensyu-howto/23746/(閲覧日:2024年7月22日)

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