【11/12イベントレポート】ヤマハミュージックジャパン、企業内大学で自走する組織づくりを目指す!設立から1年間の取り組みをウェビナーで紹介

最終更新日:

【11/12イベントレポート】ヤマハミュージックジャパン、企業内大学で自走する組織づくりを目指す!設立から1年間の取り組みをウェビナーで紹介

2024年11月12日、株式会社ヤマハミュージックジャパン様と株式会社ライトワークスは、「企業内大学で目指す自走する組織づくり」と題したウェビナーを開催しました。

ヤマハミュージックジャパンが2023年10月に開校した企業内大学「ヤマハミュージックアカデミー」について、アカデミー推進・組織開発課の武田信次郎氏と深水舞子氏から、組織開発の取り組みの一環として、社員の主体的な学びを促進する企業内大学の在り方が示されました。

このレポートでは、当日のセミナーおよびQ&Aの内容、参加企業様のお声の一部を紹介します。

【開催概要】
開催日時:2024年11月12日(火)11:00〜12:00
費用:無料
形式:オンライン
スピーカー

  • 株式会社ヤマハミュージックジャパン アカデミー推進・組織開発課 主幹 武田信次郎氏
  • 株式会社ヤマハミュージックジャパン アカデミー推進・組織開発課 主事 深水舞子氏
  • 株式会社ライトワークス コマーシャルセールス部 コマーシャルセールスチーム 菊地みのり

企業内大学を支える多機能LMS!⇒ ライトワークスのCAREERSHIPの詳細を見る

「ヤマハミュージックアカデミー」設立までの道のり

ヤマハミュージックジャパンは、ヤマハ株式会社の100%出資会社で、従業員数は約1800名。楽器や音響機器の卸売・小売、音楽教室・英語教室の運営などを展開しています。2024年4月には、同じグループのヤマハミュージックリテイリングと合併し、新たなスタートを切りました。

企業内大学をカルチャーモデルに据える

企業規模が拡大する中で、同社が重要視しているのが組織開発です。

ウェビナー前半では、武田氏が、ヤマハグループ全体の指針「Make Waves 2.0」で掲げられた「ともに働く仲間の活力最大化」というビジョンに基づき、組織開発の具体的な施策として企業内大学設立プロジェクトを始動した経緯を紹介しました。

ヤマハグループ中期経営計画「Make Waves 2.0」

<ヤマハグループ中期経営計画「Make Waves 2.0」>

 

武田氏は「優れたビジネスモデルだけでなく、カルチャーモデルが伴わなければ、企業は長続きしません」と解説。

ビジネスモデルとカルチャーモデルの関係

<ビジネスモデルとカルチャーモデルの関係>

自社ならではのカルチャーモデルの必要性を感じ、「学習する組織」「共感する組織」「自走する組織」を目指すための仕組みとして企業内大学設立に着手した背景を説明しました。

組織開発の一環としての企業内大学

また、武田氏は、組織風土形成のメカニズムとして、組織に変革が起きる条件を解説しました。

組織には、新しいことを学んで変化していくことへの「学習不安」と、自分たちの組織が潰れてしまうのではないかという「生存不安」の2つがあり、学習不安よりも生存不安が大きい時に変革が実行されるというものです。

YMJwebinar-report-img03

従来よく使われていたのは、「このままではいけない」と危機感を煽り、生存不安を大きくして行動を起こさせる手法です。

しかし、ヤマハミュージックジャパンでは、社員が未来に期待を持ちながら学べるようなポジティブな仕組みとして、「学習不安」を小さくする手法を選びました。それが「ヤマハミュージックアカデミー」です。

社員が独自に持っているカン・コツ・ツボを共有できるナレッジプラットフォームとして企業内大学を設立し、知識や経験の共有を促進することで、社員が気軽に学べる環境づくりを目指しました。

YMJwebinar-report-img04

企業内大学設立に向けた具体的な取り組み

ヤマハミュージックアカデミーは、約7カ月間にわたるプロジェクトを経て誕生しました。

プロジェクトには、各部門から20名のメンバーが参加。まずは業務内容と必要なスキルの棚卸しを行い、そこから600以上の講座案を作成しました。

そして「スモールスタート」の原則に基づき、プロジェクトメンバー全員が1本ずつ講座を制作。小さく始め、徐々に拡大していく形で運営に取り組みました。

この過程では、外部コンサルティング会社のタナベコンサルティングによる現状分析およびプロジェクトの遂行支援と、ライトワークスから企業内大学のプラットフォームとなるLMS(学習管理システム)「CAREERSHIP」の導入支援を受けました。これにより、スムーズな立ち上げが実現しました。

企業内大学を支える多機能LMS!⇒ ライトワークスのCAREERSHIPの詳細を見る

5大コンセプト

ヤマハミュージックアカデミーの5つのコンセプト

ヤマハミュージックアカデミーは、次の5つのコンセプトを掲げています。

1.従業員の、従業員による、従業員のためのアカデミー

会社主導ではなく、社員が主体的に運営するというのが、ヤマハミュージックアカデミーの基本原則です。これにより、当事者意識と自主性を高めます。

2.スモールスタート

最初から完璧を目指すのではなく、小さく始めてPDCAサイクルを回し続けることで、成長し続けるアカデミーを目指します。

3.会社・部門横断型の学部・学科体系

部門の垣根を超えた4学部18学科でスタート。学びの場を提供することで、多様な視点や知識の共有を促進します。

4.教え合い・学び合う文化の醸成

社員が講師を務めることで、知識やノウハウの共有だけでなく、講師自身の成長も促進します。

5.π型(ダブルメジャー)人材の育成

特定分野の専門性に加え、幅広い知識やスキルを備えたダブルメジャー人材を育成します。ヤマハミュージックジャパンでは、特に「モノ・サービス」と「コト」の専門性を軸に人材育成を進めています。

 

「ヤマハミュージックアカデミー」の運営と成果、課題

開校から1年が経過し、ヤマハミュージックアカデミーは着実に成果を上げています。ウェビナー後半は、深水氏がアカデミーの運営と成果、課題について説明しました。

受講促進のための施策

ヤマハミュージックアカデミーは学部・学科制を採用し、各部門から選出されたメンバーが講座を制作、運営しています。講座は、業務の隙間時間を活用できるよう、10~15分程度のマイクロラーニング形式が中心です。

受講促進の施策として、「内製教材が増えるほど受講数が増えるのではないか」という仮説のもとに、社員自らが作る教材の数を増やす方法を考えました。そこで、講座制作のボトルネックとなる部分を解消するため、アバターを使ったAI読み上げツールを導入。講師の顔出しや音声収録がなくなったことで動画制作のハードルが大幅に下がり、講座公開数は月平均5本から15.5本へと飛躍的に向上しました。

毎日何らかの講座が公開されるため、社内へのインフォメーションや受講者のタッチポイントも増加します。これにより、講座の受講数も1カ月2000本を超え、AI読み上げツール導入前より250%の増加となりました。

アカデミーのトップ画面のデザインは、各部学科を関連するアイコンとともに分類し、誰でも直感的に使いやすいよう工夫されています。また、必須講座や推奨講座の進捗状況を一目で確認できるグラフを配置し、受講者がどの講座を受講すればよいか分かりやすく設計されています。

YMJwebinar-report-img06

<トップ画面は、楽器のアイコンを用いたヤマハらしいビジュアル>

π型(ダブルメジャー)人材の育成のために、必須で2つの専攻学科を選択する仕組みになっています。これにより、選択した学科の講座が進捗グラフに反映され、学習状況を管理しやすくしています。

この専攻学科の選択機能やデザインに関しては、ライトワークスのサポートチームと密に連携し、丁寧に設計を進めました。

アカデミーの成果と課題

アカデミーの成果として、内製講座数と受講講座数の相関係数は0.92と非常に高く、内製講座の増加による受講講座数増加という仮説が立証されました。

また、自分が持つノウハウを教えたい社員は多数いること、学習コミュニティづくりが組織開発に有効な施策であることも、開校後に見えてきたことの一つです。

一方で、運営上の課題も明らかになってきました。組織開発と人材開発のバランスや、受講者のモチベーションの二極化などの課題に対し、自治と統治の両利きの運営方針への転換を図ります。

今後のアカデミーの講座構成

<今後のアカデミーの講座構成>

これは、従来の任意講座に加えて、業務に必要な知識を体系的に学べる必須講座を新設し、ログインの習慣をつけることで自律学習につながっていくのではという仮説を立てています。

深水氏は、「ヤマハミュージックアカデミーを核とした成功循環型学習コミュニティを実現していきたい。“ヤマハミュージックアカデミーがあったから成長できた”と言われるような企業内大学を目指したい」と、今後の展望を語りました。

質疑応答

質疑応答では、参加者から多くの質問が寄せられました。主な内容は以下の通りです。

  • モチベーションの低い社員を巻き込む方法
  • 業務時間中の学習時間の確保
  • コミュニティ運営の活性化策
  • 社員講師の選定方法と評価
  • 講座内容のチェック体制
  • スキルアップの可視化と評価
  • コンテンツ更新頻度
  • 必須講座の選定基準

これらに対し、武田氏、深水氏からは、以下のような回答がありました。

モチベーション向上には、社員講師による講座やマイクロラーニングによる達成感、自己決定感を重視すること。

学習時間の確保には上司の理解と協力が不可欠であること。

コミュニティ活性化には成功事例の共有や口コミの促進といった、社内に向けたマーケティングが有効であることなど、いずれの質問にも丁寧な説明がありました。

企業内大学を支えるLMS「CAREERSHIP」

最後に、ライトワークス株式会社 菊地が、ヤマハミュージックジャパンでも導入されているLMS(学習管理システム)「CAREERSHIP」について紹介しました。

CAREERSHIPは、使やすいユーザーインターフェースで、従業員の自律学習を促進します。ヤマハミュージックジャパンの事例では、CAREERSHIPを活用することで、現在は4学部19学科プラス1コーナー、約100名の学部・学科メンバーによる内製講座の制作・公開、従業員同士の教え合い・学び合いを実現しています。

また、1000タイトル以上のeラーニングコンテンツを備えた「まなびプレミアム」をはじめ、多様なコンテンツサービスも提供しています。

管理者向けには、充実のカスタマーサポートを提供しており、専用サイトと電話サポート、BPOサービスでシステムの安定稼働を支援しています。また、CAREERSHIPユーザー同士の交流イベント「CAREERSHIP User Meet Up」を定期的に開催しています。

2023年9月実施「CAREERSHIP User Meet Up」の様子

<2023年9月実施「CAREERSHIP User Meet Up」の様子>

企業内大学を支える多機能LMS!⇒ ライトワークスのCAREERSHIPの詳細を見る

ウェビナー参加企業様からの感想

ご参加いただいた企業担当者の皆様から寄せられた感想です。

  • 企業内大学の立ち上げから運営までの具体的な話が聞けて、非常に刺激を受けました
  • 運用は上司の理解と協力次第であるという点に共感しました
  • 段階的な導入パターンのイメージが広がりました
  • 自社の企業内大学設立に向けての参考にしたい

ライトワークスは、今後も価値のあるセミナーやコミュニケーションの場を作って参ります。ご興味を持たれた企業様は、ぜひ当社セミナーにご参加ください。

ライトワークスの近日開催予定セミナーを確認する

LMS大百科

失敗しない!
LMS導入・運用のパーフェクトガイドeBook

ライトワークスが20年で1,500社の教育課題に取り組み、培ってきた人材開発や教育のノウハウをご提供します。
・LMSを導入するメリット
・LMSの運用を成功させる方法
・失敗しないベンダーの選び方

など、LMSの導入・運用を成功させるための具体的な方法や知識を詳しく解説しています。

無料eBookをダウンロードする

LMS大百科