人材育成の実施方法は?育成計画・スキルマップの概要や実施のポイントなども解説

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人材育成の実施方法は?育成計画・スキルマップの概要や実施のポイントなども解説

人材育成の実施方法としては、OJTやOFF-JTメンター制度など、さまざまな種類が挙げられます。それぞれで対象者や目的、カリキュラムなどが異なるため、自社の課題や目的を踏まえ、適切な実施方法を選ぶことが重要です。

最適な方法を選んで人材育成を実施できれば、従業員に「自己啓発(Self-Development=SD)」の意識が育まれ、スキルアップに向けて自発的に努力できるようになるでしょう。

実際に人材育成を行う際は、「実施の意義を社内で共有する」「実施方法を定期的に改善する」といった点を意識することが大切です。

この記事では、人材育成の具体的な実施方法や合わせて策定すべき項目設計・運用時のポイントなどを解説します。

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関連 ▶ 人材育成とは?基本の考え方と手法一覧、成功事例を紹介

人材育成の具体的な実施方法

人材育成では、従業員の教育およびキャリア開発支援を行います。効果的な方法で人材育成を実施し、従業員のスキル向上やモチベーションアップをサポートできれば、企業のビジョン達成や業績改善に向けて大きな力となるでしょう。

このように企業は、将来を見据えて人材育成を積極的に実施することが必須です。以下のようにさまざまな実施方法があるため、自社の目的を踏まえ適切なものを選びましょう。

  • OJTの実施
  • OFF-JT(研修やeラーニングなど)の実施
  • メンター制度の導入
  • ジョブローテーション制度の導入
  • 1on1ミーティングの実施
  • ストレッチアサインメント
  • 目標管理制度(MBO)の導入

OJTの実施

OJTとは、以下のような実務を通じ、「ビジネスで必要なスキル」「仕事の進め方」などを指導する方法のことです。

  • 営業に同行させて実際に客先でプレゼンしてもらう
  • 実際の装置を操作させて実務での使い方を覚えてもらう
  • 書類仕事を行い業務の流れを体感してもらう

実際の業務を通じてアウトプットするため、座学よりスムーズにスキルや知識を身に付けられる点が魅力です。

ただしOJTでは、指導側の「適切にスキルを指導できたか?」「状況に合わせて的確なアドバイスを提供できたか?」といった部分によって、部下の習熟度が変わります。そのため、指導側に対して「アドバイス方法を身に付けさせる」といった工夫が必要です。

OFF-JT(研修やeラーニングなど)の実施

OFF-JTとは、研修やセミナー、eラーニング教材などを活用しインプットを行うことです。社内外のプロが監修した指導や教材を活用できるため、一定クオリティ以上のスキルや知識を体系的に学習できます。研修や教材には「階層別研修」「テーマ別研修」といった幅広い種類があるため、自社の目的(中途採用者を育成したい、など)を踏まえて選ぶことが大切です。

OFF-JTでスキルや知識をインプットする→OJTの実践的な場でアウトプットする」といった流れで育成すると、より効率的なスキルアップにつなげられます。

OFF-JTを実施する際は、「何を目的としているか?」「育成後に従業員がアクションを起こしてくれる設計になっているか?」などのポイントを踏まえて計画を作成しましょう。

研修計画の立て方は、以下の記事で詳しく解説しています。

関連 ▶ 【事例あり】研修計画の立て方とは?立案ポイントと手順を解説!

メンター制度の導入

メンター制度とは、先輩社員がメンター・新入社員がメンティーとなり、メンターがメンティーの個人の成長や精神的なサポートを行うことです。     一般的にはマンツーマンで面談を行い、仕事の不安や今後のキャリアなどの相談する     制度のことを指します     。「人間関係で悩んでいる」「仕事で成果を出せず不安」といったテーマについて、メンターという精神的な支えに相談できれば、悩みを払拭し業務のモチベーションも高められます。相談者が中立的な立場でアドバイスを受けられるよう、メンターは「他部署の先輩社員」などから選ぶことが一般的です。

メンター制度を導入する場合は、なるべく相談者     にとってロールモデルになり得る人物を指導者に選ぶことが重要です。身近に尊敬できる人物がいることで、「この人のようになりたい」といった目標が生まれ、仕事へのモチベーションが高まります。

ビジネスにおけるロールモデルについては、以下の記事で詳しく解説しています。

関連 ▶ ロールモデルとは 「なりたい人」を持つことで自身のスキル向上を図る

ジョブローテーション制度の導入

ジョブローテーション制度とは、定期的に配置転換や異動を行う人材育成制度のことです。半年〜3年程度おきに配置転換などを行うことが一般的です。

一定期間に幅広い業務を経験してもらうことで、以下のような効果が期待できます。

  • 幅広いジャンルの知識やノウハウが身に付きスキルアップにつなげられる
  • さまざまな業務を経験し、一番自分が力を発揮できるジャンルを見つけられる
  • さまざまな部署の人とコミュニケーションを取ることで見識が広がる

さまざまな業務を経験した従業員が、特定のスキルを身に付けて活躍できれば、企業の生産性向上や業績アップにもつながるでしょう。

1on1ミーティングの実施

1on1ミーティングとは、上司と部下がマンツーマンになり、仕事やキャリアの悩みなどについて話し合う場のことです。ヒアリングした悩みや不安に対し、上司が適切な解決策を提示したり考え方のヒントを与えたりできれば、部下のモヤモヤが解消されてスキルアップにつなげられます。

実施頻度にルールはありませんが、「定期的にコミュニケーションを取って信頼関係を構築する」という点を踏まえると、週1回程度は確保したいところです。

1on1ミーティングの具体的な目的や実施メリットなどは、以下の記事で詳しく解説しています。

関連 ▶ 1on1ミーティングの目的は、個人の成長と会社の成長をつなげることー部下の自主性を促すには(弊社ブログサイトへ移動します)

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ストレッチアサインメント

ストレッチアサインメントとは、従業員の現在の実力を超える業務を割り当てて育成することです。以下のように、難易度が高い業務を割り振ります。

  • マネジメント業務
  • 新規プロジェクトの立ち上げ
  • 普段と異なるイレギュラー業務への対応

適度な負荷を与えることで、「未知の課題を解決するために考える力」などが身に付き、部下のスキルアップにつなげられるでしょう。

ただし、過度に負荷がかかる業務を割り振ると、ストレスが大きくなり仕事へのモチベーション低下を招きます。そのため、現状のスキルや知識を見極めたうえで業務を割り振りましょう。

目標管理制度(MBO)の導入

目標管理制度(MBO)とは、従業員自身目標を設定してもらい、達成に向けて上司や先輩がサポートする制度のことです。目標達成に向けて「どんなアクションを・どのように行えばよいか?」といった点を一緒に洗い出し実行までサポートすることで、部下のスキルアップにつなげられます。

目標管理制度では、ゴールまでの成果やプロセスを参照し「どれくらい達成できたか?」という進捗をもとに評価することが一般的です。わかりやすい基準を持って評価できるため、部下のモチベーションアップにもつなげられます。

幅広い方法を活用して従業員の「自己啓発」を促進することが大切

上記で紹介した人材育成の方法を活用することで、従業員の「自己啓発(Self-Development=SD)」を促進して、効率的なスキルアップやモチベーション向上を実現できます。

自己啓発とは、従業員自身の意思で自発的に知識やノウハウを学んで、スキルアップを図ることです。具体的な学習方法としては、例えば以下が挙げられます。

  • 外部セミナーに参加する
  • 書籍を購入する
  • 資格を取得する
  • eラーニングを受講して勉強する

従業員に自己啓発への意識が生まれ、自発的にスキルアップする状態を構築できれば、上司や先輩のサポートから離れた後も成長できます。長期的に企業を成長させるためにも、従業員個人の「自発的な学習意識」を育成できるよう意識しましょう。

【階層別】人材育成を行う際のポイント

人材育成を行う際は、対象者の階層に合わせたポイントを押さえることが大切です。

  • 内定者・新入社員の育成
  • 中堅社員の育成
  • 管理職の育成

内定者・新入社員の育成

「内定者・新入社員」を育成する際は、以下の内容を中心に指導します。

  • 企業の理念や歴史
  • 自社のビジネスモデル
  • 基本的なビジネスマナー
  • 業界の知識
  • 業務に取り組む意義の共有
  • 仕事に取り組む際の心構え
  • ロジカルシンキングやタイムマネジメントなどの基礎スキル

内定者・新入社員に対しては、ビジネスマナーや業界の知識といった「仕事における基礎スキル」をメインに指導します。

特に、内定者・新入社員はビジネス経験が浅く、業務を進める中で以下のような悩みや不安を抱えやすいです。

  • 本当に今のやり方で合っているのか?
  • 業務の進め方が覚えられない
  • なんのために仕事をしているかわからなくなった

こうした不安や悩みを解消し、今後の仕事へのモチベーションを高めてもらうためにも、最初の段階で適切なポイントを押さえた育成を行いましょう。

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中堅社員の育成

「中堅社員」を育成する際は、以下の内容を中心に指導します。

  • より難易度が高い仕事に挑戦できるスキルを身に付けてもらう
  • 部下の育成方法を知ってもらう
  • マネジメント方法を身に付けてもらう
  • 各分野の知識を深めて業務の質を高めてもらう
  • 「企業に貢献するには?」という視点を身に付けてもらう
  • 責任ある立場にいることを自覚してもらう

入社から数年経過した中堅社員は、将来的に企業の中核を担う存在となっていきます。そのため、将来的に大きな戦力となってもらうことを踏まえて育成することが大切です。

特に中堅以降は育成側にまわるケースが増えるため、本人に自覚を持たせたうえで、具体的なマネジメント方法まで身に付けてもらうことが必須です。

また、中堅社員は業務が多岐に渡るため、ストレスを抱えやすくなります。そうした中でモチベーションを高めてもらうために、「努力をしっかり評価する」「本人希望に応じたキャリアアップの機会を準備する」という点も意識しましょう。

管理職の育成

「管理職」を育成する際は、以下の内容を中心に指導します。

  • 経営戦略や組織論などへの理解を深めてもらう
  • 高いレベルでマネジメントやコーチングスキルを強化する
  • 部下を正しく評価できる視点を身に付けてもらう
  • 経営者の視点で組織を運営してもらう
  • ハラスメントやコンプライアンスなどリスク管理に必要な知識を身に付けてもらう

管理職クラスになると、組織運営に関われるレベルのスキルや意識を持ってもらうことが必須です。そのため、「部下の能力を発揮させられるコーチングスキル」「チームビルディング」といった高度なマネジメントスキルを中心に指導しましょう。

また、仕事のプレッシャーがさらに増えるため、管理職自身へのメンタルケアを行うことも重要です。「ストレスチェックで定期的にメンタルの状態を確認する」「業務に見合った報酬を設計する」などを意識し、モチベーションを高めることにも注力してください。

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人材育成の方法と並行して策定すべき項目

人材育成の方法を決める際は、並行して以下の項目を策定するとよいでしょう。

  • 人材育成計画
  • スキルマップ
  • 効果測定方法

人材育成計画

人材育成計画とは、自社が求める人材を育成するための計画のことです。経営目標やビジョンから逆算し求める人物像を定めたうえで、「どんなスキルを身に付けてもらうために・具体的にどんなアクションを起こしてもらうか?」という点をまとめていきます。

アクションを計画に落とし込み育成の進捗状況を可視化することで、適宜「何が遅れているか?」「どの部分を改善すべきか?」などを把握したうえで、適切な修正が可能です。

人材育成計画は、以下の手順で作成しましょう。

  • STEP1 経営目標に沿った将来的に必要な人材像の確認
  • STEP2 目標の設定
  • STEP3 現状把握
  • STEP4 必要なスキルの整理
  • STEP5 教育手段の検討
  • STEP6 人事部や経営側に確認

手順の詳細や作成時のポイントなどは、以下の記事で解説しています。

関連 ▶ 【サンプル有】人材育成計画の作成手順とポイントを解説

スキルマップ

スキルマップとは、業務内容ごとに「従業員のスキル項目・達成レベル」を一覧化したものです。従業員ごとのスキルを可視化することで、今後の経営戦略なども踏まえ「どのスキルを強化すべきか?」「何が自社に不足しているか?」といった点を適切に判断できます。

スキルマップを活用する際は、以下のようなポイントを押さえましょう。

  • 経営陣に内容を説明して承認を受ける
  • 各部門と連携して現場の実情を把握する
  • スキルマップを踏まえeラーニングや対面研修などの効果的な学習機会を提供する

詳しい概要や導入のコツ、作成手順などは、以下の記事で解説しています。

関連 ▶ スキルマップとは?導入のコツと作成手順、企業事例を紹介

効果測定方法

OJTやメンター制度などを実施したら、以下のような方法で効果測定を行いましょう。

  • 研修後のアンケート
  • チェックリストによる振り返り
  • 受講内容に関するテストの実施
  • 学習内容に関するレポート提出

身に付いた内容や変化した部分今後の展望などをまとめてもらうことで、「具体的にどれくらいの育成効果を残せたのか?」という部分を洗い出し、次回以降の改善に活かせます。

また、学習直後にアンケートなどで言語化してもらえれば、勉強内容を新鮮なうちに記憶へ定着できるため、従業員のスキルアップのスピードも早められるでしょう。

人材育成の方法を設計・運用する際のポイント

人材育成の方法を設計・運用する際のポイントは、以下の通りです。

  • 自社の課題解決や目標達成につながる方法を選ぶ
  • 実施の意義を社内で改めて共有する
  • 従業員の意見も踏まえ実施方法を定期的に改善する
  • 「育成する側」もスキルアップする

自社の課題解決や目標達成につながる方法を選ぶ

人材育成方法を選ぶ際は、自社で解決したい課題や目標を踏まえて選びましょう。例えば以下のようなイメージです。

  • 従業員数が増えてマネジメント層の拡充が必要なので「外部の管理職研修」を導入する
  • 従業員がキャリアを柔軟に選べるよう「ジョブローテーション制度」を導入する
  • 業績を底上げするため「ストレッチアサインメント」で従業員のスキルを大幅に高める

自社の課題や目標を踏まえることで、具体的に「誰を育成すべきか?」「どんなスキルを身に付けてもらうべきか?」といった点が明らかになり、最適な育成方法を選択できます。

実施の意義を社内で改めて共有する

経営陣が階層別研修や育成制度などの導入を決めても、従業員が「育成の意義」を理解していなければ、カリキュラムの意味は半減します。育成に対するモチベーションも上がらないため、現場レベルで教育が定着せず、期待した効果は得られないでしょう。

そのため、社内勉強会や事前面談などを行い、従業員に「研修や制度を実施する意義を入念に周知することが大切です。

従業員の意見も踏まえ実施方法を定期的に改善する

人材育成の研修や制度などを導入しても、いきなり成功するとは限りません。「思ったよりスキルアップにつながらない」「従業員が実施の意義をきちんと理解できていない」ということもあるでしょう。そのため、上記で解説したアンケートや研修レポートの内容などもチェックしつつ、定期的に実施方法を改善する意識が大切です。

具体的には以下のようなイメージです。

  • アンケートで従業員から多く集まった不満点を改善する
  • 受講生が思うような成果を出せなかったので研修内容を見直す
  • 改めて自社の課題を洗い出して最適な制度を選び直す

「育成する側」もスキルアップする

人材育成では、上司や管理職など「育成する側のスキルアップも重要です。特にOJTやメンター制度など、     マンツーマンで指導する可能性がある方法を選んだ場合、より一層育成側のスキルが求められます。

そのため、育成側も「部下の悩みに論理的な解決策を提示する」「コーチングによって部下の潜在能力を引き出す」といったことができるよう、スキルを磨きましょう。場合によっては、育成側に対して「コーチング研修」「マネジメント研修」などを行うことも有効です。

企業における人材育成の成功事例を「実施方法別」で紹介

それでは最後に、企業における人材育成の成功事例を「実施方法別」で紹介します。

  • 1on1ミーティング:SOMPOホールディングス株式会社
  • メンター制度:株式会社髙島屋
  • ストレッチアサインメント:ダイキン工業株式会社

1on1ミーティング:SOMPOホールディングス株式会社

SOMPOホールディングス株式会社では、グループ全体で以下のパーパス企業の存在意義)を掲げています。

”安心・安全・健康のテーマパーク”により、あらゆる人が自分らしい人生を健康で豊かに楽しむことのできる社会を実現する

保険・介護・デジタルといった幅広い事業を通じ、「社会が直面するリスクから人々を守る」「健康で笑顔あふれる社会を作る」といった価値を提供することで、上記パーパスの達成を目指しています。

そして、達成に向けて同社が実施している施策のひとつが「MYパーパス」です。MYパーパスとは、従業員自身が抱える人生の目的や働く意義などを言語化したものです。MYパーパスを明確化し仕事の意義を見出してもらうことで、業務へのモチベーションを高め、最終的な目標達成の一因となることを目指しています。

このMYパーパスを浸透させる取り組みのひとつが「1on1ミーティング」の実施です。コーチングスキルを習得した上司が部下との1on1を行い、MYパーパスの策定をサポートします。

この1on1ミーティングでは、上司が部下のMYパーパスを策定できるよう「企業から上司へのサポート」も提供されている点が特徴です。部下とのMYパーパス作成に取り組みつつ、同時並行で上司自身もMYパーパスの描き方」「ファシリテーション技術などを学習できます。

メンター制度:株式会社髙島屋

株式会社髙島屋は、女性を中心として従業員のさらなる成長を支援できるよう「メンター制度」を導入しています。

メンター制度は、以下3つの対象者に分かれています。

  • 入社4年目
  • 契約社員
  • 育児短時間勤務者

入社4年目対象」のメンター制度は、男女問わず入社4年目の正社員を対象に実施しています。メンターは、入社10年目程度の若手課長層です。従業員が記入したプロフィールシートを踏まえて、人事部が最適なメンターをマッチングしてくれます。従業員とメンターの両方が、eラーニングによる研修などを通じメンタリング手法を学んでいるため、事前に両者が「メンタリングの意義」を理解している点が特徴です。

契約社員対象」のメンター制度は、希望した契約社員に対し実施します。メンターについては、同社の「優先採用制度」を利用し契約社員から正社員にキャリアアップした人が担当します。受け手は、自分が希望するキャリアを達成している従業員の話を聞けるため、経験者の話をもとに「正社員で必要なスキル」などを詳しく教えてもらえるでしょう。

育児短時間勤務者対象」のメンター制度は、育児のために短時間勤務制度を取得している人が対象です。「先輩社員を交えたワークショップの開催→希望者へのメンター紹介」という流れで実施されます。ワークショップでは、主に「育児をしながらキャリアを積む」というテーマを取り上げており、ロールモデルとなる先輩社員に実際の体験談を話してもらいます。外部講師の研修も受講可能です。

ストレッチアサインメント:ダイキン工業株式会社

ダイキン工業株式会社は、グループ全体でグローバル人材の育成を促進している点が特徴です。具体的には「アジア・オセアニア地域における合同研修」といった施策を実行しています。

上記のグローバル事業拡大に向けた人材育成のひとつが「ストレッチアサインメント」です。

同社では、グローバルビジネスリーダーを育成する海外拠点実践研修」を通じて、若手従業員を海外へ最大2年派遣しています。通常の海外出向と異なり、現地の販売代理店や事業提携先、大学などで実践的な課題を与えることで、コミュニケーション能力チャレンジ精神を育成する点が特徴です。

最終的に本社への提言を行うため、厳しい研修を乗り越えた後は本社で通用するレベルの高いスキルが身に付くでしょう。

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まとめ

人材育成の方法としては、主に以下が挙げられます。

  • OJTの実施
  • OFF-JT(研修やeラーニングなど)の実施
  • メンター制度の導入
  • ジョブローテーション制度の導入
  • 1on1ミーティングの実施
  • ストレッチアサインメント
  • 目標管理制度(MBO)の導入

こうした方法を活用して従業員自身の「自己啓発の意識」を育み、自発的な学習意欲を高めることで、よりスムーズに人材育成を進められます。合わせて「人材育成計画・スキルマップ・効果測定方法」も策定することがオススメです。

具体的な方法を設計・運用する際は、「自社の課題解決や目標達成につながる方法を選ぶ」「育成側もスキルアップさせる」といった点を意識しましょう。

もっと具体的に「どんな教育手法があるの?」「キャリア支援の施策例って?」などが気になった場合は、ぜひ以下の資料をご覧ください。

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参考
SOMPOホールディングス株式会社人事部特命部長 加藤素樹「MYパーパスを活用したSOMPOのパーパス経営」,『消費者庁』,
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/meeting_materials/assets/consumer_partnerships_cms201_20230621.pdf(閲覧日:2025年2月7日)
厚生労働省「メンター制度導入・ロールモデル紹介・地域ネットワークへの参加マニュアル・事例集 」,P68,https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001246766.pdf(閲覧日:2025年2月7日)
人的資本経営コンソーシアム「人的資本経営コンソーシアム好事例集」, P57,
https://hcm-consortium.go.jp/pdf/topic/2023_soukai03_GoodPractice_v3.pdf(閲覧日:2025年2月17日)

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