LMS(学習管理システム)導入の進め方 契約から運用開始までのステップを解説

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LMS(学習管理システム)導入の進め方 契約から運用開始までのステップを解説

 

「LMSの運用開始に向けて、関係部署との調整も含めてロードマップを引いておいてくれ」

上司からこう指示されて、パッと対応できそうな方はいらっしゃるでしょうか?

LMSの導入が決まっても、実際に運用を開始するまでには様々な準備が必要です。ベンダーから提示されているスケジュール表をそのまま利用できればよいですが、社内調整をするためにはそれぞれのToDoの内容を理解しておかなければなりません。

次にとるべきアクションが分からずなかなか話が進められない、社内調整に余計な時間がかかる、リソース調整が間に合わない、導入段階で初めて必要な作業を知り手間取ってしまった―いずれも、LMSの導入においてありがちな問題です。

そこで本稿では、LMSの具体的な導入ステップについて解説したいと思います。「計画なき者に実行なし」。しっかりとした計画を立て、LMSの導入を成功させましょう。

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LMS導入の4つのステップ

LMSの検討を始めてから実際に導入するまでのステップは、大きく以下の7つに分けられます。

LMS検討から導入までの7ステップ
(図表)LMS検討から導入までの7ステップ

本稿では後半の「導入段階」にフォーカスし、契約締結後にサイトを開設し、データを登録して運用を開始するまでのステップについて解説します。(「検討段階」について詳しく知りたい方は下記のコラムもご参照ください)

また、LMSの利用形態にはクラウドサービスとオンプレミスがありますが、最近ではクラウドサービス導入が主流となっている(当社では98%以上)ため、ここではクラウドサービスを前提に解説します。

クラウドについて詳しく知りたい方は、下記のコラムをご参照ください。

契約締結

発注するベンダーが決まったら、採用合否の連絡を行い、契約を締結します。
契約書については、各ベンダーが雛形を用意していると思いますので、提供を依頼しましょう。

当社の例を挙げると、LMSの契約にあたって以下のような契約を締結します。

LMSをクラウドで提供する場合

  • クラウドサービスに関する業務委託基本契約書
  • ライセンスを定義する個別契約書

LMSをカスタマイズする場合

  • システム開発基本契約書

ベンダーの雛形以外にも、社内でクラウドサービスを利用するために必須とされている契約書や同意書等がありえます。情報セキュリティチェックやクラウドサービスチェック、業務委託チェックなどの必要がないか、自社の情報システム部門やセキュリティ部門に確認を取りましょう。

いずれも他部署の協力が必要になるので、法務部門や情報システム部門には早めに企画内容を共有しておくことをおすすめします。

 

環境構築

契約締結が完了したら、LMSを使って教育施策を展開するための環境構築を行います。
具体的には、ベンダーに要件を伝え、自社専用のサイトを開設してもらうステップです。

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当社の例で言うと、オプション利用やカスタマイズをせず、パッケージのサービスを利用するのみなら、5日程度で環境を構築できます[1]

オプションやカスタマイズが必要な場合は、内容によってベンダーと要件定義を行い、設定や開発を行いますので、あらかじめ提案段階でスケジュール感を確認しておきましょう。

オプションサービスにはベンダーによって様々なものがありますが、近年よくみられるのは以下の3つです。

  • 教材作成ツールの利用
  • 人事データ連携
  • シングルサインオン

1つずつ見てみましょう。

教材作成ツールの利用

こちらは自社で教材コンテンツを作るためのツールです。近年、コスト削減や運用の柔軟性を高めるため、自社で教材を作りたいというニーズが増えています。LMSと合わせて導入することで、教材コンテンツの調達から運用までのプロセスを全て自社で完結させることができます。

詳しく見る ▶  ライトワークスの教材作成ツール

人事データ連携

自社の人事システムとLMSを連携することで、LMSへのユーザ情報や組織情報の登録・更新を自動化することができます。規模の大きな組織ほど、このカスタマイズを行う企業は多くなっています。当社の感覚では、2000人を超えたら検討の価値があるイメージです。

LMS導入後の環境構築「人事データ連携イメージ」
参考)人事データ連携イメージ

上記の仕組みを実現するためには、ベンダーと連携方法を相談し、仕様を決めてから開発・設定を行うことになります。ネットワークのポリシーやセキュリティポリシーによって方法が変わってくるので、情報システム部門と連携して進めましょう。

少々準備は必要ですが、運用の手間は確実に減ります。ベンダー側は対応に慣れているので、気軽に相談し、連携方法のパターンを提示してもらいましょう。

シングルサインオン

シングルサインオン(SSO)は、認証手続きを1回行えば、複数のOSやアプリケーション、サービスなどにアクセスできる仕組みです。例えば個人アカウントで利用されている社内ポータルがある場合、自社のLMSのサイトをその中の一メニューとして見せることが可能です。利用者は、社内ポータルにログインし、LMSのメニューをクリックすれば、自社のLMSサイトにログイン操作なしで入れます。最近ではSAMLという標準規格でのSSO連携が多くなっています。


「社内に様々なシステムが散在していて、ID・パスワードの管理が大変」などの不満が蔓延すると、LMSサイトにログインするのが面倒になり、教育施策の推進に影響が出かねません。SSO連携を実施すれば、ログインの手間を省き、利用者の負担を減らすことができ、受講率も向上することが多いのでお勧めです。

人事データ連携同様、ベンダーと連携しての開発・設定作業が必要となりますので、情報システム部門等と協力して対応しましょう。

 

運用準備

LMSの環境が整ったら、運用設計を行い、サイトにデータを登録し、実際の運用を開始するための準備を進めていきます。

運用設計とは、LMSに登録する内容やその管理方法などを決め、それを実現するための設定を行う作業で、具体的には管理者に付与する権限の設定や、パスワードポリシーの設定などを行います。LMSを運用する=教育施策を推進することですから、このプロセスは運用準備の中で最も大切な作業といえるでしょう。

当社では、運用設計に通常2週間~1ヶ月程度を見込んでいますが、余裕を持って設計を開始するとよいでしょう。また、ベンダーのサポートを受けることも有用です。イメージしている教育施策を実現するためにどのような運用設計をすればよいか、相談してみましょう。

運用設計が完了したら、念のためサンプルデータでテスト運用を行います。本番データの登録後に慌てず済むよう、イメージ通りの運用が可能かどうか、確認しておきましょう。

テスト運用が完了したら、設計に基づいて本番データを登録し、必要な設定を行います。具体的には、ユーザ情報と教材データを登録し、配信するための設定を行います。

テストデータや本番データが登録できたら、施策の内容に合わせたマニュアルの作成や説明会等を実施し、ユーザ各位に操作いただくための環境を整えます。

 

運用開始

ユーザに利用案内を行い、運用を開始します。

利用案内には、LMSを使うと便利です。例えば当社のシステムでは、教材の配信開始日時に合わせてメール配信を予約することができます。メールには、自社専用サイトのURLとアカウント情報を記載しましょう。

また、運用開始後の問い合わせに対応できるよう、ベンダーと相談して平常時、緊急時のサポート体制を整えておくことも大切です。ベンダーによっては受講者向けのヘルプデスクを備えているところもありますが、人事部門が主管となって自社独自の教育施策を展開する場合、実はシステム管理者向けのサポートが充実していることが重要になってきます。

LMSの運用には、メール配信機能をはじめとしたLMSの管理機能の充実と、運用設計から実施まで、施策そのものの推進を事務局の立場でサポートしてくれるベンダーの存在が欠かせません。

ライトワークスの手厚いサポート体制について詳しく見る

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まとめ

いかがでしたか?

LMSの導入を進めるための4つのステップをご紹介しました。

  1. 契約締結
  2. 環境構築
  3. 運用準備
  4. 運用開始

契約を締結したら、ベンダーに要件を伝えて自社専用のサイトを開設してもらいます。人事データ連携やシングルサインオンを行う場合は、ベンダーと連携して設定を進めましょう。

運用準備では、データの登録など、実際に運用を行うための準備を進めていきます。中でも運用設計は、LMSに登録する内容やその管理方法などを決め、それを実現するための設定を行うもので、運用準備の中で最も大切な作業です。ベンダーの支援も得て丁寧に進めましょう。

メールによる利用案内をもって運用開始となります。運用開始後もベンダーの支援を得られるよう、事前にサポート内容をよく確認しておくと良いでしょう。

ポイントを押さえたロードマップを引き、LMSの導入を成功させましょう。

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[1] クラウドサービスのパッケージ利用の場合の標準的な日数です。オンプレミスの場合は1ヶ月程度見込む必要があります。

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